猫のマイケル
体重が順調に減りつつあるマスターです。
今回もカラコンランドともカラコンとも関係のないお話し。なんか童話のような猫の話しです。
私の妹の家には、マイケルという名前のとても大きなオス猫が暮らしていました。妹の旦那はマイケルを文字どおり猫可愛がっていました。毎日仕事から帰ってくると大きなマイケルを抱えては顔を埋めていました。マイケルは旦那さんの顔の脂でテカテカになっていました。そんな旦那さんはある日頭が痛いと言って入院しましたが、手術が上手くいかず、若くして永遠の眠りについてしまいました。妹には幼い子供二人とマイケルと、他のオス猫たちだけが残りました。
マイケルは体が大きいのでとてもケンカが強かったのです。近所の猫とケンカをして負けることはありません。でも一緒に暮らしているオス猫たちとは、本当に仲良く暮らしていました。子猫がじゃれてちょっかいを出すことがあってもマイケルは寛容にあやしていました。
マイケルは普段、家の何処かに隠れているのですが、お客さんが来るとお客さんの足下をこするようにゆったりと旋回して歓迎の意をあらわす猫でした。妹の幼い子供たちがちょっかいをだしても危害を加えることがありません。とても賢い猫でした。
私の母がガンのため妹の家で寝たきり生活を送るようになりました。母が飼っていた猫も妹の家に引き取られてきました。母が可愛がっていた猫は、マイケルのお母さんでしたが、その猫はバカ猫だったので、マイケルのことを覚えておらず、やたらにマイケルに敵意をむき出しにします。歳を取ってぼけていたのかも知れません。そのたびにマイケルは悲しそうにするだけでした。
ある日、やせ細った母は、ついにこの世を去りました。ベッドから布団に移され、安らかに眠っているとき、家にいる猫たちの中で普段家の奥にいるマイケルだけが出てきて、母の顔に向かって一晩中うつぶせていました。猫嫌いだった私の妻も、さすがにマイケルの姿には感動を隠せませんでした。「猫にも忠義があるのですね…」
そんなマイケルも20歳になりました。人間の歳にするとすっかり老齢です。健康状態も随分悪くなり、お別れのときが来たのは見るからに明らかでした。妹は、マイケルとの別れのときが近づいている悲しさでどうしていいか分かりませんでした。
あるとき、マイケルが大きな声で鳴き始めました。近所に聞こえるような大きな声でした。生涯おとなしい猫でしたから、妹はマイケルが呆けてしまったと思いました。マイケルは毎日毎日、鳴き続けました。
そうしたある日、別の猫の声が家の外から聞こえてきました。塀の外にまだ生まれていくらも経っていない子猫が弱った体から声を振り絞って鳴いていました。妹は、すぐにこの猫を引き取って家で飼うことを決心しました。これから手をかけて弱った子猫を育てないといけないと思ったときから、マイケルとの別れの悲しみが消えていきました。マイケルもその子猫があらわれた日から鳴くのをやめました。妹はその時、マイケルが子猫を連れてきたのだと悟りました。子猫はラッキーと名付けられました。ラッキーは子猫ながら、とても賢そうな顔つきをしていました。
ラッキーがあらわれてから1ヶ月も経たないある日、弱っていたマイケルが静かに息を引き取りました。その夜マイケルが安らかに眠っている横にラッキーがやってきて、傍で添い寝を始めました。猫は死んだ猫の傍には寄りつかないと言われているのに…
そのうちラッキーはマイケルの顔をぺろぺろと舐め始めました。マイケルの顔をキレイにして送り出したかったのでしょう。ラッキーはそうして3時間ほどマイケルの傍にいて最後の別れをしていきました。(おしまい)
マスター
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